日本龍蛇神回向の旅05 奈良県「室生龍穴神社(本宮)」

参拝の記録・記憶

 車に戻るとすっかり冷めたコーヒーを二口飲んで、県道沿いにある本宮の方へ向った。
 神社はすぐに見つかった。先ほど追い抜いていった車も停まっている。
 高木の茂る境内は意外と広く、入口に天を突くような大木が二柱、天然の鳥居のようにそびえている。その奥に人工の鳥居が肩身狭そうに立っている。

 

 


東の木立に射し込む無数の光の筋が妙に神々しい。

 


境内中央は数段高くなった広場になっていて、うっそうと直立する巨樹が取り囲むなか比較的明るい。

拝殿の扁額には「善如龍王社」と刻まれてあった。

拝殿の裏手に回ると、鳥居・狛犬があり朱色の板塀があざやかな本殿がある。


本殿


本殿前狛犬(右)

 

【龍穴神社由緒】
『延喜式』(967)の神名帳に記載される古社(式内社)で髙龗神を祭る。
本宮の背後の岩壁に龍穴と呼ばれる洞穴があり、朝廷界隈からも雨請い神事が要請され行われてきた記録を持つ。
近隣の室生寺よりも創建は古く、室生寺はかつて神宮寺として「龍王寺」とも呼ばれていた。
奈良の猿沢池に棲む龍王が春日山を経てこの龍穴へ来たという伝承がある。
本宮の本殿は寛文十二年(1672)に春日大社若宮から移築したもので、奈良県の有形文化財に指定。
(参考:境内案内板A,B二種)

Ryuketsu Shrine(Honmiya)
The ancient shrine is mentioned in the “Engishiki-Jinmyocho”(written in the mid-Heian period) and is dedicated to the gods of rain, TAKAOKAMI, whose origin goes back to when the rocky cave behind the Honmiya(main shrine) was enshrined as the Dragon’s cave where the RYUOU dwelled.
The Dragon’s cave was worshipped from the early Heian period(794-1185) by the Imperial court as the god of rainfall.
The cave is now called Kissho Ryuketsu or Ryuketsu Shrine Okumiya.
(参考:環境省・奈良県・宇陀市設置境内案内板)

 

式内社とのことだが、なぜか『神道大辭典』『神社辞典』ともに記載がない。
(『神道大辭典』では「龍穴傳説」の項に室生山の龍穴として紹介される)

かつて室生山寺の僧が主導する形で龍穴の前にて大般若経・仁王経等を讀誦する龍穴御読経りゅうけつみどきょうが行われた。(『神道大辭典3』)
筆者が現代に奥宮で法華経を讀誦した記録

 


手水龍

 


狛犬(拝殿前、左・右)

 


ここの狛犬はかっこいい。久々に好い狛犬を観た。

 

社務所は毎日は開いてない。
毎月15日の月次祭や年始、一部の祝祭日のみ開くようだ(9:00-15:00)*境内に予定表が張り出される。
鎮座地:奈良県宇陀市室生(むろう)
国語假名的には「むろふ」または「むろお」だが、登録・現代表記では「むろう」
カーナビは「室生寺」が便利。