考察

民俗伝承[日本]

人柱伝説の研究―構造解析による比較および分類を中心に―①「序章」

序 章 一、研究の視座  研究を始めるにあたって、「民俗学には理論民俗学の分野が欠落している」という小松和彦の苦言について一考しておきたい。  ここで問われていることは、「学問の意義づけ・位置づけ」である。つまり、自分の研究がその対象学問の...
民俗伝承[日本]

祇園龍穴と京都八坂神社

鎮座地:京都市東山区祇園町北側625 最寄り駅:バス「祇園」(京都駅から最も近いアクセスだが乗客が非常に多い)、京阪本線「祇園四条」駅、阪急京都線「四条河原町」駅。 旧 称:祇園天神、祇園社、祇園感神院。 旧社格:官幣大社、二十二社   0...
参拝の記録・記憶

尾長天満宮摂社(龍神社と水神社)の謎【Hiroshima-Wandelinger10】

JR広島駅の北側にある二葉山の麓に、十程度の寺社が点在する。そのうちの七つが「七福神」として連携、独自の御朱印を出すなどして参拝者を集めている。  特に人が多いのは鶴羽根神社で、正月三が日などには境内の半分くらいまで参拝待ちの列ができるほど...
考察

ジブリ映画『君たちはどう生きるか』考察ノート(鳥が意味するもの,神話的解釈を中心に)

結論(作品コンセプト)  既に公開した感想も踏まえて結論から述べると、幼少時代の監督の記憶、自伝的要素が含まれてる可能性が高い。  ここで描かれた世界(時代)を経て、自分は今映画監督になっているよ。さあ「君たちなら(今の世界から)どう生きて...
民俗伝承[日本]

伝説分類の研究(人柱伝説を中心に)

伝説分類の研究  筆者が今取組んでいるのは人柱・人身御供伝説についての研究であるが、研究に先立って便宜的に設定する分類の参考とするため、先行研究者の伝説分類を確認し比較考察する。  なお筆者は民俗学について独学であるため、学術的に不十分・不...
考察

「子供の声をしたダイジン」について ―松王人柱伝説から読み解くダイジンの正体―

キーワード:『すずめの戸締まり』 人柱 要石 八幡若宮 はじめに 『すずめの戸締まり』は2022年に発表された新海誠の小説作品で、同年に劇場アニメ映画としても公開された。廃墟などの「失われた風景」のある土地を悼むことをコンセプトに、主人公の...
考察

小説『すずめの戸締まり』に関する一考察(補遺2―閉じ師関連の諸文献を中心に)

前回の記事『補遺1』では、文章で記述された世界観を丹念に再確認した。  次に、作中に出て来る「文献」の記述に注目し、災害をどのように伝承しているか確認してみよう。 <閉じ師関連の諸文献の考察> 1:『閉ジ師秘伝ノ抄』について  『閉ジ師秘伝...
考察

『すずめの戸締まり』に関する一考察(補遺1―原作小説の世界観を中心に)

「人の心の重さが、その土地を鎮めてるんだ。それが消えて後ろ戸が開いてしまった場所が、きっとまだある」 この記述をどう読み解くか。ここが震災を扱う物語の中心的なテーマだとすれば、正しく読み解く必要がある。ひとまづは念頭にとどめて、「後ろ戸」について再確認する。
民俗伝承[日本]

『次郎五郎淵伝説と屋久島の禁忌についての一考察』

キーワード:弥山、屋久島、山岳信仰、神使、野生動物、滑落死  次郎五郎淵は広島県広島市五日市町上河内の八幡川流域にある。北には窓ヶ山(標高711メートル)があり、その麓に位置する。広島湾まで南下するとちょうど宮島に当たり、その中間に極楽寺山...
民俗伝承[日本]

Hiroshima-Wandelinger第7話【多度神社の一目連】

【一目連/天目一箇命】  ところで、大神社とは別件で天目一箇命あめのまひとつのみことについて調べて居たところ、柳田國男による興味深い報告を見つけたので、少し長いが引用して紹介する。(註釈は省き、改行と句点・読みかなは適宜施した)  伊勢桑名...
社寺建築[細部意匠]

浅草神社(東京都台東区)

浅草神社 あさくさ-じんじゃ 鎮座地:台東区浅草2-3-1 (最寄り駅:銀座線・伊勢崎線(東武スカイツリーライン)/浅草駅) 祭神:土師眞中知命、檜前濱成命、檜前武成命、 (徳川家康?、倉稲魂神?、大國主神?) 【概要】  なんの神さまか、...
考察

Hiroshima-Wandelinger第6話【『廣島市史社寺史』の不可解な表記】

【『廣島市史社寺史』の不可解な表記】  寺社を紹介している『猫の足あと』というサイトが「日通寺」の項で典拠としていた『廣島市史社寺誌』について調べてみた。  幸いなことに国立国会図書館がデジタルデータで公開して居たのですぐに読むことができた...