馬橋稲荷神社(足穂稲荷大明神)/東京都杉並区

社寺建築[細部意匠]

馬橋稲荷神社(足穂稲荷大明神)まばしいなり(たるほいなり)

鎮座番地:杉並区阿佐谷南2-4-4
(最寄り駅:新宿方面から→JR高円寺(南口)、杉並方面から→バス高円寺南4)
主祭神:宇迦之御魂神(ウカノミタマ)、大麻等能豆神(大麻止乃豆乃神)おおまとのづ
相殿神:菅原道眞神(スガワラミチザネ)、美都波能賣神(ミツハノメ)、伊弉那册神(イザナミ)
末社:[嚴]島神社(表記は山偏に嚴)、水神社、齋靈殿(戦没者及び神社関係者の霊)

<略縁起>


創建年不詳。寛永十六年(1639)には当地にあったことが確実で、一説に鎌倉末期という。馬橋村鎮守。
天保三年(1832)、京都白川家(神祇伯)役所から正一位足穂稲荷大明神の神号拝受。
M40(1907)、馬橋村の御嶽神社を合祀ごうし。白山神社、天神社(北野神社)、水神社を相殿あいどのに祀る。
S13(1938)、社殿改修。
S40(1965)、現社号に改称。

表参道の石像鳥居(高さ8メートル)は柱に彫り込まれたが見事で、東京三鳥居の一つに挙げられる。(建造S7年)

(以上参考、社頭掲示板・杉並区教育委員会設置板・公式サイトhttps://www.mabashiinari.org/index.html)

【狛狐】


表参道(三ノ鳥居):左・宝珠、右・子狐。朱色前掛け。(大正十一年)石工・田中某。
台座にも松と狐が彫られて居て見事な造形です。


社殿前:待機型、朱色前掛け。(金属板文字不明)
像の周囲に小さい置物がたくさん置かれて居ます。

【双龍鳥居】


表参道の二ノ鳥居(石造)。両柱にそれぞれ昇り龍と降り龍が彫られて居る。周囲の樹木もこの双龍に感応して影響を受けているのが判ります。

【手水龍】


表参道の手水龍は何やら見事な山状の岩塊の上に置かれて居る。この岩山は「伊予の青石」という天然石とのこと。
「伊予の青石」は愛媛県内の中央構造線の南側から産出される青・緑系の岩石だそうです。(参考:大洲市公式サイトhttps://www.city.ozu.ehime.jp/site/discovery/25619.html)
凄いですよね。手水龍にこれほどぴったりの石はないんじゃないかな。水も湧水だというし、これがパワースポットですね。

<その他>

天保三年に階位と大明神号を出して居る京都の白川家(神祇伯じんぎはく)とは、平安時代からの神祇官を世襲する公家で、幕府公認のもと、松尾まつのお・稲荷・大原野・廣田ひろた日御碕ひのみさきなどの諸社の執奏を担当した一族。もとは花山天皇の後裔こうえいが出自で臣籍降下しんせきこうかして神祇官の長官(神祇伯)となったが、吉田家が台頭するとその勢力は限定的となった。江戸期には伝来の諸説を体系化し、伯家はっけ神道を樹立。天保十一年(1840)には平田篤胤を学頭に任じている。(参考『神道大辭典 第二巻』一九四頁、『神道史大辞典』八一二頁)
*執奏とは天皇へ取次ぎをすること。


大麻等能豆神(大麻止乃豆乃神)については詳細不明ながら、御嶽おんたけ神社の祭神であることから恐らく御嶽信仰(修験道)に関連した神と推定される。同時期の合祀社の中でこの神だけが別格に扱われている理由は判らない。
稲荷神社でありながら龍に関するオブジェが多いのも不思議であるが、恐らく水神の合祀や末社の水神社に因むと推察される。

御朱印:あり
オリジナル朱印帳:あり
絵馬:白狐
駐車場:あり


高円寺側からアプローチすると東参道に当りやすい。出来れば表参道から参拝したいですね。