2023-05

考察

「子供の声をしたダイジン」について ―松王人柱伝説から読み解くダイジンの正体―

キーワード:『すずめの戸締まり』 人柱 要石 八幡若宮 はじめに 『すずめの戸締まり』は2022年に発表された新海誠の小説作品で、同年に劇場アニメ映画としても公開された。廃墟などの「失われた風景」のある土地を悼むことをコンセプトに、主人公の...
考察

小説『すずめの戸締まり』に関する一考察(補遺2―閉じ師関連の諸文献を中心に)

前回の記事『補遺1』では、文章で記述された世界観を丹念に再確認した。  次に、作中に出て来る「文献」の記述に注目し、災害をどのように伝承しているか確認してみよう。 <閉じ師関連の諸文献の考察> 1:『閉ジ師秘伝ノ抄』について  『閉ジ師秘伝...
考察

『すずめの戸締まり』に関する一考察(補遺1―原作小説の世界観を中心に)

「人の心の重さが、その土地を鎮めてるんだ。それが消えて後ろ戸が開いてしまった場所が、きっとまだある」 この記述をどう読み解くか。ここが震災を扱う物語の中心的なテーマだとすれば、正しく読み解く必要がある。ひとまづは念頭にとどめて、「後ろ戸」について再確認する。